こんにちは。
週末ハイカーのはるたろうです。
今回は磐梯・吾妻・安達太良 ボルケーノトレイルへの挑戦と称して、総延長200kmにおよぶ火山を巡る旅に出掛けてきました。
とはいっても週末ハイカーですので、まとまった休みが取れるわけでも無く、中々200kmを一気に踏破するのは困難です。
だったら何回かに分けて、全部の道を繋げれば良いじゃない?
と、私の中で都合の良い解釈がされました。
四国八十八カ所を巡礼するお遍路にも数回に分けて全ての道を辿る「区切り打ち」という方法があります。
その方法と同じだということを自分自身に言い聞かせて、この旅をスタートします。
さて、今回は総延長約200kmの内の約11kmを旅してきました。
様々な絶景を見ることが出来ましたので皆さんに紹介したいと思います。
この記事を読んでいただきボルケーノトレイルに興味を持たれた方は是非チャレンジしてください。
※この記事は2024年10月12日の山行をもとに作成しています。
目次
磐梯・吾妻・安達太良ボルケーノトレイルとは
福島県に聳える吾妻連峰と安達太良連峰。
その二つの連峰はともに日本百名山に数えられ、多くの人達に愛される名峰です。
この二つの山域をトレイルコースとして整備したのが、総延長200kmにもおよぶ磐梯・吾妻・安達太良 ボルケーノトレイルになります。
〈磐梯・吾妻・安達太良 ボルケーノトレイル〉
また、この二つの名峰はともに活火山です。
特に、このトレイルの北端に位置する一切経山周辺では今でも噴煙が立ち上り、その大地は植生を拒絶するほど荒涼とした景観を私たちハイカーにまざまざと見せつけてきます。
一方で、少し足を伸ばすとそこには緑豊かな湿原や宝石のように散りばめられた池塘など、生命の豊かさを感じさせてくれる景観があります。
このような正反対の景色を長いトレイルコースの中では交互に見ることになりハイカーを飽きさせることはありません。
また、トレイルコースの名称にもなっている”ボルケーノ”(火山)
ひとたび噴火でもしたら、人々に絶望的な恐怖と壊滅的な被害を与えます。
一方で、その破壊の中で生まれるものもあります。
このトレイルは、火山により享受された副産物を探す旅でもあるのです。
恐怖と破壊の代償として人類が得たものは何か?
その答えがこの磐梯・吾妻・安達太良 ボルケーノトレイルを歩くことで見えてきます。
是非、皆さんも総延長約200kmにおよぶ火山を巡る旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回のコース
今回は赤線で示した部分の約11km区間を歩いてきました。
ルートは沼尻登山口~安達太良山~鉄山~沼尻登山口の周回ルートです。
駐車場
沼尻コースを歩く場合の駐車場は沼尻登山口駐車場になります。
収容台数は約50台で駐車料金は無料です。
尚、駐車場に区画線はありません。少しでも多くの車が停められるようにしっかりと整列させて停めるようにしましょう。
車でのアクセス
舗装路の終点である田村屋旅館を過ぎると約2.7kmのダート路になります。
この先に本当に駐車場があるの?と不安になる頃に駐車場に到着しますので安心して安全運転で進んで下さい。
沼尻登山口駐車場には二駆動の軽自動車も多く停まっているので、ダート路といってもそこまで荒れた道ではありません。
しかし、ダート路の道幅は車1台分です。
所々広くなっていて、すれ違いも可能ですが、車を避けるためにダート路を外れる場合は、溝やぬかるみにはまらないように注意して下さい。
尚、大雨の後などは過去に何度かこのダート路が通行止めになったことがありますので、沼尻登山口に向う場合はインターネットやSNS等で最新の情報を確認するようにしましょう。
因みに、ダート路脇にはリフトがあります。
営業はスキーシーズンのみですので稼働はしていません。
トイレ情報
沼尻登山口や沼尻コースにトイレはありません。
以前は沼尻登山口に仮設トイレがあったようですが現在はありません。
沼尻登山口に到着する前に済ませておきましょう。
また、携帯トイレを持っていると山行中は安心です。
コース詳細と見所
沼尻登山口~安達太良山山頂
登山口に建つ慰霊碑は1997年に登山中の事故で命を落とした方の慰霊碑です。
登山口から白糸の滝展望台までは緩やかな坂道を登ります。
所々階段が整備されていてとても歩きやすいです。
歩き始めて間もなく、白糸の滝展望台に到着します。
休憩用のベンチもあるため、休憩しながらのんびりと白糸の滝を見ることが出来ます。
しかし、ここから先は本格的な登山道に突入しますので、しっかりとした登山装備で臨む必要があります。
ここまでは観光目当てで散歩がてら、普段着でも問題なさそうです。
展望台以降はしばらくの間、眺望の無い樹林帯を歩きます。
ぬかるみや滑りやすい場所が多くありますので足下に注意して進んで下さい。
少し景色が開けてきたなと思ったころに船明神方面と硫黄川方面の分岐に辿り着きます。
私は登山の最後に硫黄川での足湯を楽しみたいので、右側の船明神方面を選択しました。
左側の硫黄川方面に行く場合はここから一端硫黄川まで下ることになります。
先ほどの分岐を過ぎると登山道がより険しさを増してきます。
滑りやすい岩を登ったり、高い段差を越える必要があるので設置してあるロープをうまく活用して登りましょう。
また、このようなロープや鎖はとても助かりますが、使用前には一度引っ張って外れないか等の確認をするようにしましょう。
万が一、つかまって登っているときに外れたりすると事故につながります。
険しい登山道を登っていると、なんでこんなことをしているんだろうという気持ちになるときがあります。
そんな時は周りを見渡して下さい。
沼尻コースもこの辺りからは景色が開けてきます。
後ろを振り返ると磐梯山や飯豊連峰など福島を代表する山々を見渡すことが出来ます。
これらの絶景は厳しい登山道を上るための活力を引き出してくれます。
さて、この辺りまでくるとこの沼尻コース最大の見所となります沼ノ平が見える場所まであと少しです。
実はこのコースではとてもレアな沼ノ平の裏側を見ることが出来ます。
安達太良山登山で最も利用されているのはあだたら高原スキー場からのコースです。
そのコースから登ると沼ノ平の表の顔を見ることが出来ます。
この表の顔については言わずもがな絶景ですが、中々こういった景色の裏側を見る機会はありませんよね。
この辺りまで来るともう景色は開けっぱなしです。
広大な吾妻連峰も全容を現わします。
そこら中に広がる絶景を存分に楽しんで下さい。
また、この日は思わぬサプライズがありました。
東側に雲海が広がっていたのです。
もうこの時点でわくわくが止まりませんでした。
現在地からはその全貌が見えませんでしたが、もう少し歩みを進め安達太良山の稜線にでた際に雲海の全貌が明らかになりました。
その様子は後ほどお伝えします。
さて、この山行は10月中旬でした。
事前情報としては今年の夏の猛暑の影響から例年よりも紅葉が遅くなっているとのことで、安達太良山の紅葉の見頃はもう少し先かなと思っていました。
しかし、船明神山に近づく頃には少しずつ木々が色づいていました。
色づき始めの時期でこの景色と言うことは、紅葉のピークはどれほどの絶景なのか?想像に難くないですね。
紅葉を楽しみながら歩みを進めていると池が姿を現わします。
この池、実は地図に載ってない名前の無い池のようです。
持ち帰って調べてみましたが、詳細な情報は分かりませんでした。
いつから出来たのか?どこから水が湧いているのか?
とても気になる場所の一つです。
この名も無き池ポイント。
実は一番道に迷いやすい場所かもしれません。
コースが火山砂で覆われているため踏み跡も発見しにくいのです。
池周辺の砂地を抜けると踏み跡がしっかりあるので、一先ずは赤線のコースを辿って黄色の逆三角形のポイントまで進んで下さい。
そこまで行けばあとは踏み跡を辿って緑の逆三角形のポイントまで行きます。
次に目の前に聳える要塞の用な岩壁をどのように越えるかです。
もちろんロッククライミングをする必要はありません。
緑の逆三角形ポイントまで進んだら岩壁を迂回するような巻き道があります。
その巻き道の終点で岩を登ります。
岩を登ると言ってもつかむところや足を置くところがしっかりとあるので、そこまで心配するような場所ではありません。
岩場を越えると安達太良山と鉄山を繋ぐ稜線へと続く道がスタートします。
この道は沼ノ平を臨みながら歩ける道でもとても素敵です。
安達太良山と鉄山を繋ぐ稜線に出ると分岐を示す標識があります。
それではいよいよ安達太良山の山頂を目指します。
この稜線上から見る安達太良山の山頂はとても特徴的な形をしています。
まさに自然の造形美です。
また、左側の斜面に生い茂る木々は紅葉が始まっています。
遂に安達太良山の山頂広場まで辿り着きました。
ここの広場はとても広く多くの人達で賑わう場所です。
本日は時間が早かったため静かな山頂広場を満喫できました。
因みに安達太良山の山頂は目の前に見える巨大な岩のてっぺんになります。
ルートとしては反時計回りで登ります。
下りは左側に小さく見えている梯子から下ってきます。
誘導用の矢印表示がありますのでその矢印に従って登って下さい。
なんと、山頂へ向うルート上に梯子が新調されていました。
以前は鎖を利用して登っていたポイントですが、梯子になったおかげでとても登りやすくなっています。
この梯子を登ったら安達太良山の山頂になります。
360°の大パノラマを楽しんで下さい。
また、前述したサプライズの雲海がとても広大で圧倒されました。
このレベルの雲海は中々見ることが出来ません。
安達太良山山頂~鉄山山頂
安達太良山山頂からの景色を思う存分楽しんだら、次は鉄山の山頂を目指します。
一度、沼尻コースと安達太良山~鉄山の稜線がぶつかる分岐まで戻ります。
この分岐を過ぎると沼ノ平の表の顔を見ることが出来ます。
いつ見ても壮大です。
また、この場所は風の通り道になっているので風が強い日は爆風が吹き荒れます。
私も何度か経験がありますが、立っているのがやっとでした。(本当の爆風時は立ってもいられないようです。)
ここからは沼ノ平を常に左側に眺めながら、鉄山を目指します。
鉄山までの稜線は滑りやすい下りと急な登りがありますので、慎重に進んで下さい。
鉄山までの登り坂を登っていると右下に改築工事中のくろがね小屋が見えます。
急な坂を登り切るといよいよ鉄山の山頂です。
この鉄山の山頂からの景色もとても良いのでゆっくり堪能して下さい。
尚、コース紹介からは少しずれますが、本日は鉄山山頂でサッポロ一番味噌ラーメンを調理して食べました。
山で食べるご飯はとても美味しいです。(尚、残り汁を捨てると環境破壊に繋がるので飲みきるか専用の容器などに入れて持ち帰りましょう。)
鉄山山頂~沼尻登山口
お腹もふくれたところでいよいよ下山します。
まずは鉄山山頂から見える鉄山避難小屋方面に向います。
鉄山避難小屋は沼尻登山口と箕輪山方面との分岐点に建っています。
今回はそのまま、鉄山避難小屋の前を通り沼尻登山口方面に下山します。
鉄山避難小屋からしばらく進むと石楠花の塔があります。
この石楠花の塔は航空自衛隊の訓練飛行中この山域に墜落し、亡くなった2名の自衛官の霊を弔うために猪苗代町中ノ沢温泉の山岳会により建立された慰霊碑になります。
慰霊碑の一部となっているプロペラは実際の事故機のプロペラだそうです。
石楠花の塔からしばらく進むと再度沼ノ平の全容が現れます。
ここから見る沼ノ平は噴火口がこちら側に向って広がっているように見えます。
また、火山砂で形成された地形は無数に連なる尾根のようです。
それらの条件が重なり、まるでCGや絵画で描かれたのではないかと錯覚するほどの現実離れした空間を作り出しています。
この場所を越えると沼ノ平とはお別れになるので、しばらくの間、この景色を堪能して下さい。
沼ノ平にお別れを告げたあとはハイマツ帯をしばらく歩きます。
この場所からは終始吾妻連峰や障子ヶ岩を望むことが出来るので単調な道を歩いていても飽きることはありません。
また、所々左側が断崖絶壁になっているところがありますので注意して進んで下さい。
障子ヶ岩の眺望を楽しみながら歩いていると胎内岩というポイントにさし掛かります。
この胎内岩は想像以上に狭いです。
なんとかザックを背負いながら通過することが出来ましたが、難しい場合は一度ザックだけを出口方面に置いてから通過する方が良いかと思います。
この胎内岩を過ぎると、急な下りが待っています。
段差のある岩や、ぬかるんだ急な坂がありますので足下に注意しながら慎重に下りましょう。
この急な下りの後は景色が一変します。
今度は砂地を歩くことになりますが、この砂地も結構滑りやすいので注意して歩いて下さい。
砂地を過ぎると今度は川沿いを渡渉しながら下ります。
この辺は景色がどんどん変わっていくので歩いていてとても楽しいコースです。
また、流れている川は茶色く変色しており、鉄分が多く含まれていることがうかがえます。
この川を辿り下っていくと、湯気が湧き出る硫黄川に合流します。
登りの時に最初の分岐から見下ろした場所になります。
この硫黄川は天然温泉が流れる川です。
また、単一源泉の湧出量が日本一と言われている中ノ沢温泉の源泉です。
まず、一目見たときは誰もがその目を疑うことになるかと思います。
なぜなら、流れている川から湯気がもくもくと立ち上っている。
そんな川を見たことがありますか?
また、この硫黄川は実は野湯マニアの間では名前の知れ渡った有名な場所なんです。
温泉好きの私もたまらずに入浴…、いや、足湯を楽しみました。
尚、この場所は付近で硫化水素ガスによる死亡事故が発生した場所です。
立ち止まらずに通り過ぎるのが一番安全ですので、足湯等は自己責任になります。
今回の私のように反時計回りの沼尻コースで登った場合、硫黄川からは少し登り返しがあります。
ここまで来ての登り返しはとても辛いかも知れませんが、最後の登りになるので緑の逆三角形のポイントまで頑張って登って行きましょう。
登り切った場所は、登りの時に右側の道を選択し、船明神方面に行った最初の分岐点になります。
ここからは登りで通った道を下って、駐車場に戻ります。
下山後の楽しみ
下山後は、中ノ沢温泉の「花見屋」さんに日帰り温泉でお世話になりました。
こちらはもちろん野湯と違って硫化水素ガスの心配がありませんので安心して温泉を楽しむことが出来ました。
源泉に近いだけあってとてもいいお湯でした。
↓今回お世話になった「花見屋」さんです↓
↓その他にも中ノ沢温泉には魅力的な宿がいっぱいです↓
まとめ
磐梯・吾妻・安達太良 ボルケーノトレイルの旅はいかがでしたか?
冒頭でも述べたとおり、私達に恐怖と被害を与えるとてつもない自然災害の一つである火山。
しかし、その反面、私たち人間に対して沼ノ平、障子ヶ岩、白糸の滝などといった素晴らしい景観資源や温泉、湧き水、栄養豊富な土壌など生活に必要不可欠な環境資源を与えてくれます。
今回歩いたのは総延長200kmのボルケーノトレイルに対して1割にも満たない距離ではありますが、自然に対する感謝を身をもって体感出来たとともに、磐梯・吾妻・安達太良 ボルケーノトレイル全てを踏破したいという強い思いが芽生えました。
実はこのトレイル上の他のコースについても既に歩いているコースがあったので、次回以降はそれらのコースを紹介するとともに、まだ未踏のコースについても今後実際に歩いてレポートしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回辿った安達太良山の沼尻コースでもっと知りたいことなどあれば、是非お問い合わせ下さい!!
また、登山を始めたい方向けに「登山を始めたい人必見!!揃えるべき登山用品たった2選」の記事を書いていますので参考にして下さい。
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